新法・金属盗対策法①!金属くず買受業の届出のポイント解説
※このコラムは令和7年11月11日時点での法令を基に掲載しています
目次
新法導入の背景
令和7年6月20日に新法である盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)」が公布されました。9月1日から一部が施行されたことにともない、古物営業法の施行規則の一部を改正する規則も令和7年8月20日に公布、同年10月1日から施行されました。これにより取引金額に関わらず、古物商が買受けを行う際の相手方の確認義務等の対象物品が追加義務とされました。こちらについては、当コラム「古物商許可」の回で取り上げましたので覚えておられる方もおられることかと思います。
古物商以外にも入管法等の一部改正もあり、特定金属くず買受業に係る措置についても順次施行されていきます。注目度の高まっている新法・金属盗対策法を第一回目コラムとして先行施行された条文解説していきましょう。
金属盗難の現状
令和に入り(といっても、もう令和も8年になろうとしていますが)、全国各地で金属盗のニュースが増えるようになりました。原因は銅などの価格高騰が背景とされ、その認知件数は警察が統計を取り始めた令和2年は約5,400件だったものが、令和6年には2万件を超えています。これは急増という言葉では足りないほどの数字であり、盗難被害にあう施設も太陽光発電施設を始め、工事現場、養鶏場、公園など多岐に渡り甚大な被害をもたらしていると言えるでしょう。
金属盗対策の取り組みと課題
これまで盗難物の市場流通を抑えてきた法律は全国的には古物営業法です。しかし古物営業法では廃製品(切断したケーブルなど)は古物の対象外であり、古物商としても相手方(窃盗犯)の確認義務の対象から外れてしまう。といった課題を抱えるようになってきました。また個別に金属くず条例を制定して対策を講じた道府県もありますが、全国3分の1に留まり窃盗犯としては条例未制定の都府県に持ち込めば盗品の処分が容易であることなども依然として課題として残りました。(愛知県は未制定です)
そういった現状を踏まえて、国は全国一律に金属盗対策を講じることを目的として新法成立の運びとなりました。

盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗防止法)
金属盗防止法の趣旨と目的
この法律は前述したように、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗をはじめとする金属盗の増加が、国民経済に大きな影響が及んでいることなどを踏まえ、特定金属製物品の窃取の防止を目的として制定されました。
具体的には、①特定金属くず買受業を営む者に係る措置を講ずることにより、盗品の換金を困難にさせること。また②指定金属切断工具の隠匿携帯を禁止することにより、特定金属製物品の窃取への先制的な対策を可能とすること。さらに③盗難防止情報の周知により、事業者による効果的な防犯対策を促進させること。この三点をもって、特定金属製物品の窃取を防止することとしています。
特定金属製物品とは
特定金属製物品とは、法においてその窃取の防止に資することを目的とする金属製物品であるとされています。
法第二条一 特定金属製物品
特定金属を使用して製造された物品のうち、主として特定金属により構成されているものをいう
特定金属とは
金属といってもその種類は膨大な量です。そこで法の規制対象を限定する趣旨から、被害実態等を踏まえ、金属の中でも特に金属盗対策が必要なものを「特定金属」として規定しています。法第二条の用語の定義には特定金属のかっこ書きとして以下のように記されています。
法第二条一 特定金属かっこ書き
銅その他犯罪の状況、当該金属の経済的価値その他の事情に鑑み、当該金属を使用して製造された物品の窃取を防止する必要性が高い金属として政令で定めるものをいう
銅その他…政令で定める金属と記されています。しかし、警察庁の通達では現在の犯罪情勢から鑑みて銅以外の金属を政令で特定金属として追加で定める必要性までは認められない。と記されています。
法施行時においては銅のみを特定金属とし、鉄やアルミ等その他の金属については、その必要性があると判断された場合に特定金属として定められる可能性があるということです。
主として特定金属により構成されているもの、とは
銅が使われた金属製物品が全て法の対象となるかといえば、そうではありません。その対象が過度に広範にならないように対象を限っています。条文にある「主として特定金属により構成されている」とは、物品の重量又は価格が2分の1以上を特定金属が占めていることをいいます。銅が占める割合が、重量又は価格において2分の1未満であれば、法の対象にはならないとされています。
銅を含む合金について(青銅・真鍮)
特定金属とは銅のことであると前述しましたが、一部の合金については「主として特定金属により構成される」に該当する場合のある合金も存在します。
一般的に青銅(銅とすず)や真鍮(銅と亜鉛)は銅の含有率が50%を超える合金です。これらの合金を買受ける場合にも、金属くず全体における銅の占める重量又は価格が2分の1以上になるのであれば、主として特定金属(銅)により構成されることに該当することとなるとされています。

指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止
法の目的である特定金属製物品の窃取を防止するために、一定の大きさ以上のケーブルカッターやボルトクリッパーといった特定金属製物品の窃取に使用される恐れが大きい工具については隠匿携帯が禁止されています。
法第十五条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定金属切断工具を隠して携帯してはならない
こういった工具は、業務など正当な理由によって国内において広く使用されている実態があります。そこへの影響を最小限とするため、規制の対象を隠匿携帯のみを禁止することとしています。通常の仕事などでの使用・携帯では何らの心配もいりませんので、ご安心ください。法の施行前においては窃盗犯が犯行の前に指定金属切断工具の隠匿携帯をしていたとしても、それをもって取締りの対象とする根拠が無かったための条文だと思ってください。条文の太字についても解説していきます。
業務その他正当な理由とは
社会通念上に想定されているのは以下のとおりです
・工事関係者や販売事業者が業務のために携帯する場合
・警察、消防、消防団等が災害対策のために携帯する場合
・前期に該当しない者が日曜大工等のために携帯する場合
なお、護身用で携帯する等についてはケーブルカッター、ボルトクリッパーの本来の使用目的ではなく、社会通念に照らして正当性を評価することはできないとされています。
規制対象となるケーブルカッター
・長さが45センチメートル以上のもの
・ラチェット機構(回転式の刃体を特定の方向にのみ回転させる機構)を備えているもの
・電気装置又は油圧装置を備えているもの
規制対象となるボルトクリッパー
・長さが75センチメートル以上のもの
・電気装置又は油圧装置を備えているもの
隠して携帯(隠匿携帯)とは
指定金属切断工具を、自動車のフロアマットの下に置いたり、布で包んだりするなどして、他人の目に触れないような状態で持ち運ぶことです。言葉の意味としては「所持」よりも狭い意味ですが、指定金属切断工具を隠した車を運転する行為や、仲間に持たせて自己と行動を共にした場合等も含まれます。
また、特定金属製物品の窃取は多人数で犯行に及ぶ場合があることから、複数人が共同して携帯することも想定されています。
指定金属切断工具の隠匿携帯違反に伴う罰則
1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
今後予定される施行内容とまとめ
特定金属くず買受業に係る措置は、公布の日(令和7年6月20日)から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。施行後は、特定金属くず買受業を営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出が必要になります。届出以外にも、
・買受の相手方の本人確認等
・取引記録の作成等
・盗品の疑いがあると認めた場合の警察官への申告
などの措置が必要になります。現時点においては具体的な施行日が不明な点がありますので特定金属くず買受業の届出などについては、後日のコラムにて解説します。施行日や手続き等についての国家公安委員会規則等が明らかになったのち、「金属盗防止法②」として掲載しますので、よろしくお願いいたします。
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