飲食店営業許可の完全ガイド!必要書類から費用まで一挙解説【名古屋市版】

※この記事は名古屋市での飲食店営業許可申請について記載しています。

はじめに

 どこの街にも私たちが日常で利用する飲食店が必ずと言っていいほど存在しています。ファミレス、ラーメン店、喫茶店からファストフード店とその種類は枚挙にいとまがありません。また客席を設けないお店も年々増加しています。このページをご覧になられた皆さんは少なからず開業、出店をお考えのことと思います。開業するにあたって、どのような形態のお店が「飲食店営業許可」を申請しなければならないのか?今回は、そこを解説していきます。

食品衛生法に基づく飲食店

 食品衛生法では32業種を営業許可業種と定めています。飲食店営業もそのうちの一つに挙げられ、その定義を「食品を調理し、設備を設けて客に飲食させる営業」としています。飲食店営業の対象となる「調理」とは、その場で客に飲食させるか、又は、短期間のうちに消費されることを前提として、飲食に最も適するように食品を加工成形することをいいます。

 つまり、一般的なイメージの飲食店に限らず食べ歩きやテイクアウトを前提としているソフトクリームなどを提供する客席の無いスイーツ店なども飲食店営業に該当します。またサービスエリアなどにある調理うどんの自動販売機にも営業許可が必要となります。

 では飲食店の営業許可を得るためには、どういった手続きが必要なのかを見ていきましょう。

飲食店営業許可申請手続きの流れ

①工事を始める前に事前相談
 店舗施設の工事着工前に設計図面(施設の1/50程度の平面図)を出店予定地を管轄する保健所(名古屋市では保健センターと呼びます)に持参し、事前相談を受けます。もしお店で井戸水などを使用する場合は水質調査をするよう求められます。
 また、食品衛生責任者の専任も必要です。調理師・栄養士などの資格を持っていない人を食品衛生責任者に選任する場合には、都道府県知事の指定する養成講習会への参加が求められます。保健所の窓口でも申込みは可能ですので、人選が決まっている場合は、その場で済ませておきましょう。
②営業許可申請に必要な書類の作成
 申請には以下の書類を作成します。
・営業許可申請書
・施設の構造及び設備を示す図面
・営業所付近の見取図・敷地及び建物の平面図
・食品衛生責任者の資格を証明する書類
・水質検査成績書(井戸水等、上水道以外の水を営業用水とする場合に限る)
・法人登記事項証明書(申請者が法人の場合のみ)
③営業許可申請書の提出
 名古屋市では申請書は少なくとも営業開始予定日の20日前までに提出するよう求められています(自治体により差があります)。申請の際に施設審査の実施日についても窓口で打ち合わせます。店内工事の工程表などを持参して、確実に検査を受けれる日程で打ち合わせましょう。また申請手数料も、このときに納付します。名古屋市の申請手数料は16,000円となります。同じ愛知県内でも名古屋市以外の自治体では手数料も変わりますので、事前相談の際に確認しておくとよいでしょう。
④施設の審査
 申請書提出時に決めた日時に営業所での現地審査を行います。審査の際は、施設の概要を説明する必要があるため責任者(営業者)の立ち合いが必要となります。審査の内容としてはお店の設備がこのコラムの最後に付録として記載する施設基準に適合しているか否かの確認が行われます。工事の遅れて審査当日にお湯が出ないなど、適合しないとされた場合には不適事項の改善をしたのちに再検査となってしまいます。審査対象の設備は万全の状態にしたうえで審査の日を迎えましょう。
⑤営業許可証の交付
 施設基準に適合していることを確認後、営業許可証を作成します。作成から交付までの期間については数日を要するとされていますので、営業開始日については予め保健所と相談しておくと良いでしょう。
⑥営業開始したあとは
 営業許可証や食品衛生責任者の名札は営業所内の見やすい場所に掲示しましょう。この他にも

・申請事項に変更が生じた場合は変更届
・営業をやめた場合は廃業届
・営業の譲渡、相続、合併または分割があったときは承認届

などの届出が必要となります。営業設備の変更や法人の形態変更については事前に保健所への相談をしておくとよいでしょう。
⑦営業許可証の更新について
営業許可証には有効期限があります。これは全ての飲食店一律ではなく建物や施設内部の設備状況によって査定され5年~8年の間で設定されます。有効期限後も引き続き営業する場合には、更新申請が必要となります。更新申請は有効満了日の15日前までに営業許可証と更新手数料(名古屋市12,000円)を営業所所在地を管轄する保健所へ持参しましょう。更新申請については申請者本人が提出することが望ましいとされています。
 もし満了日を過ぎてしまうと、無許可営業となり新しく許可を受けるまでは営業が出来なくなります。更新は早め早めの申請を心がけましょう。

付録・食品衛生法施行規則 営業施設の基準(共通基準)

 食品衛生法に基づく許可を要する営業施設の基準は飲食店を含む全32業種に共通して必要な事項が定められています。それぞれに適合しなければ施設審査において不適合とされてしまいます。個々の業種や特定食品についての事項もありますが、ここからは共通事項に絞って紹介していきます。全てを書きだすと相当な分量になってしまいますので、内容はまた別の機会に紹介できればと思います。

  • 施設(営業所)
  • 区画(店内の区画)
  • 施設の構造及び設備
    • 汚染防止設備等
    • 換気構造または設備
    • 床、壁、天井
    • 照明設備
    • 給水設備
    • 飲用に適する水
    • 手指消毒設備
    • 排水設備
    • 冷蔵または冷凍設備
    • 害虫等の侵入防止及び駆除設備
    • トイレ
    • 保管設備
    • 廃棄物容器(ゴミ箱など)
    • 製品包装の場所
    • 従業員の更衣場所
    • 洗浄設備(シンク)
    • 添加物取扱設備
  • 機械器具
    • 適正な保守及び点検
    • 作業に応じた取り揃え
    • 食品等に直接触れる機械器具
    • 固定または移動しがたい機械器具
    • 運搬容器
    • 温度計等の計量器
    • 清掃用具等
  • その他(以下、略)

 以上が共通基準となります。設備については営業所の物件が居抜きで入居する場合と、スケルトンの状態から入居する場合とでは後者の方がより注意して店内のレイアウトなどを決定していくことが求められます。特に初めての出店であったり、初めて店舗の責任者や出店責任者になられる場合には、迷ったら相談して確認。これを徹底して無事に開店初日の日をお迎えください!

 行政書士みのり事務所では、飲食店営業許可申請・風営法許可営業許可申請の他にも各種変更事項の届出、変更承認申請にも対応しております。お困りごと、お悩みごとのある際には弊所を思い出していただければ幸いです。

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行政書士 木下みのり
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