警察行政手続きのオンライン申請対象が拡大!その注意点と利用のメリット
令和7年12月15日より、警察行政への許可申請・届出等、各種オンライン手続きが大幅に拡大されます。これまでオンライン申請は「警察行政手続サイト」において主に道路交通法関係を中心とした24の許可・届出に留まっており、他の手続については、原則警察署へ赴いての対面型が主流でした。それが今回の対象拡大に伴い、デジタル庁が運営する「e-Gov電子申請」を利用することにより、なんと582もの手続きがオンラインで申請できるようになるということになります。
今回のコラムでは、そんな一見、便利そうにみえる手続きのオンライン化のお話を注意点と利用のメリットなど、当事務所が専門としている風営法・古物営業法を中心に解説していきます。
目次
オンライン化の背景と目的
2021年9月にデジタル庁が創設された以降、国はデジタルファーストの原則を徹底することにより行政手続及び社会全体の生産性の向上を目指して取組を進めています。国民生活にとって最も身近なものでいえばマイナンバーカードがその象徴ともいえると思います。そして行政への申請についても、年々、オンライン申請の拡充が進んできています。
これは我が国が抱える問題が大きな要因として挙げられます。それは急激な人口減少・少子高齢化とこれに伴う労働力不足です。今後も人口の増加は見込めない現状であり、このままでは行政・公共サービスの低下をもたらし、地方によっては最低限必要な公共サービスの維持すらままならなくなると懸念されているところです。こうした環境の中で、中長期的な公共サービスの維持・強化を実現するためには、さらなるデジタル化を促進していくことが必要だとされています。
この人口減少に伴う構造的な人手不足は国や自治体に限った問題ではなく、警察行政においても同様だといえます。いわゆる団塊ジュニア世代が定年を迎えつつある昨今、愛知県警においても、個々の警察署における警察官の定員維持も難しい状況にあります。風営・古物の窓口である生活安全課の保安係担当官は一人の署も珍しいことではなく、繁忙期には申請する側の私から見ても、その仕事量は大変なものだと思います。少し話が逸れましたが、警察行政にとっても担当窓口一人当たりの負担軽減は緊急の課題であるといえます。その課題(省人化)を解消するという目的の一翼を担うのが、今回のオンライン申請の対象拡大といえるのではないでしょうか。
オンラインで手続きができる具体例
冒頭でも書いたように今回の拡大で582の手続きがオンライン化の対象となりました。一連の流れをつかむために風俗営業を挙げてフローチャートで見ていただきたいと思います。
- 開業に必要な手続
- ・営業許可申請書
・各種の添付書類
・ローカルルールで求められる添付書類など
- 営業をしていく上で発生する各種手続き
- ・構造設備の軽微な変更の届出
・構造設備の変更承認申請
・営業許可証の再交付の申請
・営業許可証の書換え
・管理者の変更
・役員の変更など
- 閉業や事業承継などの手続
- ・営業許可証の返納
・合併、相続、分割の承認申請など
営業を開始するにあたっての営業許可申請から始まり、営業を続けていく上で手続きすることとなる各種の変更承認申請・変更届といった事業者様も慣れ親しんだものがならびます。この他にも、営業許可証の返納や合併・相続・分割の各承認申請といった営業主体を代える手続きまで、お店に関わる手続きのほぼ全てがオンライン化の対象となっています。
生活安全課の行政手続における分野別オンライン申請
ここでは警察庁発表のデータから生活安全警察に係る拡大後のオンライン手続を分類別に見ていきましょう。生活安全課担当の皆様が膨大な量の行政手続に携わっていることがお分かりいただけると思います。
| 小分類 | 手続数 | 主な関係法令 |
|---|---|---|
| 質屋営業 | 15 | 質屋営業法 |
| 古物営業 | 26 | 古物営業法 |
| 警備業・警備員 | 44 | 警備業法 |
| 風俗営業等 | 92 | 風営法 |
| 銃砲刀剣類所持等 | 61 | 銃刀法 |
| 遊技機 | 15 | 遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則など |
| その他 | 54 |
風営法関係の手続が頭一つ以上抜けた数字となりました。これは風俗営業許可営業が1号から5号までと幅が広いということ、1~5号営業には含まれない特定遊興飲食店営業の許可申請や深夜酒類提供飲食店営業をはじめとする届出営業も含まれていることなどが大きな要因となっています。因みにですが、「遊技機」が風俗営業の4号営業とは別の扱いになっているのは、パチンコ店に新台として導入される前の段階(確認申請や指定試験機関)については別に規則が定められていることに起因しています。

警察行政手続をオンラインで行う上での注意点
さて、一見するとオンライン化されたことにより事業者の皆様や、我々行政書士がパソコンなどを使って申請すればそれで全てが完了する。と、言いたいところですが、実はそうはなりません。オンライン申請における注意点について、ポイントを挙げていきます。
「 e-gov(イーガブ)」の利用方法を覚える必要がある
e-govの利用方法については個別相談の場にて、お答えさせていただきます。
手数料の納付については、「e-gov」上ではできない
e-govでは、税金や社会保険料の納付については対応しています。しかし各都道府県警察に対する申請手数料の納付については未対応となっています。
オンライン申請を行ったとしても、手数料の納付は従来通り申請先の所轄警察署等で納付することになります。
一部の都道府県警察においては、個別にシステムを構築し、手数料納付機能を実装しているところもあります。申請にあたっては各都道府県の実情を確認するようにしてください。なお、愛知県警ではキャッシュレス化のみ実装しています。
許可申請は手数料の納付日が申請受付日に
e-govでのオンライン申請を行っても、その時点では申請受付とはならないようです。オンライン申請後、警察窓口にて手数料を支払った時点をもって申請受付日となります。
交付物は対面交付が原則です
許可証や通知書などの交付についても、現在のところ対面交付(現物交付)のみとなっています。
交付の際には、申請者本人へ営業を開始するにあたっての注意点などを口頭で伝えたりする場合が多いです。そのため交付物は、これまで通り警察署での受け取りが必要となります。
紙での申請も引き続き可能です
手数料の納付と交付物の受取り。最低でも二回(申請受付の際の面接と納付は同じ日に行うと仮定)、申請者が警察署へ出向く必要があることから、
オンライン手続の対象が増えたとはいえ、これまで通り紙での申請も可能となっています。
許可・届出以外でも変更承認申請といった手数料の納付が必要な手続においては、今後も紙での申請を選択肢の一つに入れておくのも良いかと思います。
オンライン申請のメリット
警察行政の許可営業・届出営業は他の行政庁が管轄する許認可とは異なり、許可権者と逮捕権者が同一であるという特徴を持っています。それにより例え行政書士に代理申請を依頼して頂いたとしても、申請者が一度も警察署に赴かずに許可が得られるようになることは、今のところ想定されていないといえます。
それではオンライン申請をどのように利用することが、メリットになるのでしょうか?それについて考えていきたいと思います。
24時間365日申請可能
先ほど述べた警察行政の特徴とは別に生活安全課の手続には、もう一つの大きな特徴があります。それは、
電話予約してから警察署へ行かないと受付けてもらえない…
これが結構ハードルになります。運転免許証の更新に行ったら「予約がないからダメ」とは言われませんが、それが生活安全課の場合はあり得ます。予約日も申請者の行きたい日時ではなく、担当者が窓口に勤務している日時の中から選択することになるため場合によっては申請日が遅れてしまうこともあるかもしれません。
そんな場面になる前にオンラインを利用して申請だけ済ませておくとが出来れば有効な手段といえます。もちろん申請前には担当窓口への事前相談を必ず行うようにして下さい。たとえオンライン申請であっても、後に説明や追完書類を求められることも十分想定されます。事前相談の段階で担当者にオンライン申請を行う場合の手順と、手数料の納付日については確認しておくようにしましょう。
手数料が発生しない変更の届出での利用
風俗営業者は、営業所の構造又は設備につき軽微な変更をしたときは、都道府県公安委員会に届出書を提出しなければならないこととされています。また管理者の変更や申請者の住所などの変更も同様に変更届出が必要となります。
こういった変更の届出については手数料がかかりません。オンライン申請をするにあたり手数料を納付するために警察署へ赴くというハードルが無い点は許可申請よりも低いと言えます。届出受領書等、交付物の受取りが必要な場合はありますが、書類の追完が無ければ一度の往復で済むのは助かりますね。
パチンコ店を始めとした定期的に申請が発生する営業
風営法4号営業パチンコ店。所謂、新台入替においては新台入替開店日の約1週間前までに「変更承認申請書」と添付書類を事前に申請しなければなりません。これを新台入替の度に行うことから、大型店舗等の新台サイクルが早いお店では、ひと月に3度4度警察に行くことも珍しいことではありません。またパチンコ店は現在殆どのお店が年中無休での営業を行っています。検定書などの必要書類が手元に届いたタイミングで書類を作成し、デスクに寝かすことなくオンライン申請を行うことができる。これにより店舗管理者を始めとするスタッフさんのシフトを組む上で、大変大きな変化をもたらす可能性があります。新台入替に係る変更承認申請においては手数料納付のタイミング(納付日が受付日となる)にも依りますが、定期的に変更届も発生するパチンコ業が最もオンライン申請の恩恵を受ける業種なのかもしれません。
まとめ
ここまで、新たに拡大される警察行政のオンライン申請について解説してきましたが如何でしたでしょうか。旧来の警察行政手続サイトから e-govに移行されることで、警察行政手続サイト自体も令和7年12月15日(月曜日)に運用を停止する予定です。移行直後は、各警察署によって対応に差が出ることも考えられます。
オンライン化が進むとは言っても、許可・届出の営業であることに変わりはありません。許可権者である営業所を管轄する警察署の担当者のとの対面でのやりとりも無くなることはありません(私自身は、マメに電話相談はした方がいいと考えています)。オンライン申請を使うか、紙申請を続けるかは我々申請者の側に選択権があります。こんな選択肢も増えたんだな。どのように利用していこうか。など今コラムが、皆様の今後の事業を進めていく上での一助になれば幸いです。
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