【前編】「風営法適用外の麻雀ガイドライン」って何?行政書士が教える、単なるノーレート教室では通らない本当の理由

 こんにちは。行政書士みのり事務所の木下みのりです。

 令和8年7月1日、麻雀業界に大きな変化をもたらすかもしれない「風営法適用外麻雀施設のガイドライン」が新しく公開されました。

 風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、麻雀店を開くには警察署の許可が必要と決められています。しかし、「麻雀を教える・学習する」ことが目的で、賭け事などの要素を一切含まない場合は、例外として許可がなくても運営できる「麻雀教室施設」として認められる場合があります。

 今回のガイドラインは、その「許可がいらない麻雀教室」の明確なルールを定めたものです。ただ、内容を読んでみると「ノーレートだから許可はいらないよね」という甘い考えでは絶対に通用しない、色々な意味で厳しい基準が並んでいます。

 今コラムでは、一般の方にも分かりやすいように、ガイドラインの前半部分(総則・お店が守るべきルール・料金の仕組み)を要約して解説します。

「麻雀教室」として認められる絶対条件

 ガイドラインの総則(定義と形態)では、単にお金を賭けない・賞品を出さないというだけでは、風営法適用外の「麻雀教室」としては認められないと明記されています。

 法律の網の目をくぐり抜けるような脱法的な雀荘を排除するため、以下のような「本物の教育的要素」が厳しく求められます。

  • 目的の明確化:「学習」「教育」「訓練」を目的とし、利用者に「麻雀を覚えさせる・学習させる」ための講習プログラムが反復継続して行われる施設であること。
  • 必須となる要素:あらかじめ定められた講座、カリキュラム、指導員による指導、そして受講生の進捗管理(出席や到達度の記録)のすべてが揃っている必要があります。
  • 単発イベントとの違い:単発の無料体験などは許可の対象外になり得ますが、有料で何度も繰り返したり、実態として「利用客に対局させること」が主目的(いわゆるセット雀荘やフリー雀荘のような形態)であったりする場合は、たとえノーレートでも風営法の許可が必要です。

つまり、「指導やカリキュラムを伴う学習活動の場」であることだけが、許可を不要とする唯一の根拠になります。

お店が絶対に守らなければならないルール「9つの遵守事項」

ガイドラインでは、事業者(お店側)が守るべき厳格なルールとして、以下の(1)から(9)までの項目が定められています

  • (1) 非会員の利用禁止(完全会員制):利用者は全員、氏名や年齢、連絡先を登録した「会員」でなければなりません。通りすがりの飛び入り利用や、身元不明者の利用は、たとえ短時間・1回限りであっても一切禁止です。
  • (2) 18歳未満は保護者の同意書が必須:高校生など18歳未満の受け入れには、活動内容や時間帯を明記した保護者の「書面による同意」が絶対に必要です。本人の自己申告や口頭の確認だけでは認められません。
  • (3) 結果に応じた金品・賞品の授受は全面禁止:対局の結果に応じて、現金や商品券、換金可能な景品などをやり取りすることは一切禁止です。お店側は利用規約への明記や違反時の利用停止など、合理的な防止措置を講じる義務があります。
  • (4) 会員以外への貸し出し・あっせんの禁止:完全会員制が前提となるため、会員ではない部外者に対して施設を貸し出したり、利用をあっせんしたりする行為も認められません。
  • (5) 管理責任者の常駐:営業時間中や講座の開催中は、トラブル対応やルール監督ができる「管理責任者(または代行者)」が必ずお店に常駐していなければなりません。責任者不在のまま営業することは禁止です。
  • (6) お酒・タバコの全面禁止:施設内での飲酒やアルコールの販売・持ち込みは禁止です。飲酒状態での来場も認められません。また、紙巻きたばこ・電子たばこを問わず、喫煙も一切禁止です。
  • (7) 外部機関によるチェックを受ける体制:ガイドラインに沿った正しい運営が行われているか、認定団体などの「第三者機関(監督機関等)」による監査や確認を受ける体制を整える必要があります。
  • (8) 風営法の制限地域で運営する場合の通知・説明:風営法で定められた制限地域(学校や病院の周辺など)に施設を設ける場合、地域に誤解を与えないよう、関係団体への通知や、近隣の保護対象施設への直接説明を行わなければなりません。
  • (9) 広告・宣伝の制限:チラシ、看板、ウェブサイト、SNSなどで宣伝する際は、麻雀の学習や講座といった目的を明確に表示しなければなりません。「フリー」「貸卓」など、一般の麻雀店(娯楽施設)と誤認されるような表現は禁止されています。

※なお、このガイドラインの運用や健全性の監督は、麻雀を頭脳スポーツとして普及させ、青少年の健全育成や高齢者の健康増進を目指して活動している第三者機関「一般社団法人 日本麻雀スポーツ振興機構(JMSO)」などが中心となって行っているそうです。

「時間貸し」「卓貸し」はすべて禁止!料金の厳格な基準

 今回のガイドラインで、新規開業を検討する経営者様が最も注意しなければならないのが「利用料金の仕組み」です。

 「お金を賭けないノーレートだから、普通の雀荘と同じ料金設定でいいよね」というどんぶり勘定は、警察行政には一切通用しません。ガイドラインでは、従来の雀荘ビジネスの根幹であった料金形態が文字通り「一律禁止」とされています。

  • ゲーム単位・時間単位の課金はNG:「1ゲーム〇〇円」「1時間〇〇円」といった雀荘特有の「場所代(場代)」としての料金設定は完全に禁止されました。
  • 「1卓〇〇円」の卓貸しも禁止:グループを対象にした、いわゆる「セット(貸卓)」の料金徴収も認められません。たとえ名目が「受講料」であっても、実態として卓の使用料や、単に自由に対局させる機会への対価(場所代)とみなされれば、風営法の許可が必要な「雀荘営業」と判断されます。
  • 料金は必ず「教育プログラムの対価(受講料)」であること:お店が受け取れるお金は、あらかじめ組み立てられた麻雀の授業、理論講義、指導に対する「受講料」名目でなければなりません。
  • 成績や勝敗による料金の増減は全面禁止:麻雀の勝敗や順位、点数(持ち点)によって受講料が変動するようなシステムは絶対に不可能です。点棒のやり取りはあくまで形式的な教育目的(点数計算の学習など)に限られ、金品はもちろん、受講料の割引や優遇といった「経済的利益」に連動させることは娯楽性の排除の観点から固く禁じられています。

 このように、料金システムひとつをとっても、「ただ場所を貸して自由に打たせる店」ではなく、「指導員が管理する本物の教育施設」である実態が厳格に求められているのです。

営業時間についての制限と年齢制限

 風営法上の許可を受けない「麻雀教室施設」である以上、営業時間や利用者の年齢についても、教育施設にふさわしい厳格な基準が設けられています。一般の雀荘であれば24時間営業(※一部地域や貸卓等を除く)を行っているお店もありますが、麻雀教室では深夜や早朝の営業は認められません。

  • 基本の営業時間は「午前8時から午後10時」まで:深夜営業は一切禁止されており、午後10時には完全にクローズしなければなりません。
  • 16歳未満の利用は「午後8時」まで:中学生などの16歳未満の受講生については、さらに制限が厳しく、午後8時までの利用となります。
  • 各都道府県の条例(ローカルルール)への配慮義務:ガイドラインの基本ルールに加え、お店がある地域の「青少年保護育成条例」等の規定を遵守して営業することが大前提とされています。

 例えばここ愛知県の場合、条例によって「18歳未満の深夜外出(午後11時から翌朝午前6時まで)の禁止」などが定められています。これは保護者の同伴があったとしても施設への入場が禁止されています。ガイドラインの基準である「午後10時閉店」を守ることはもちろん、受講生である未成年者が安全に帰宅できるよう、地域のローカルルールに寄り添ったさらに慎重な運営が求められます。

【まとめ】麻雀教室運営の新ガイドライン:前編

 今回解説したガイドラインは、「賭けないから許可不要」という甘い認識を完全に排除するものです。営業時間、完全会員制、そしてゲーム単位課金の禁止など、求められるのは単なる「娯楽施設」ではなく、「本物の教育施設」としての厳格な実態です。

 しかし、これだけではまだスタートラインに立ったに過ぎません。後編では、さらに重要となる「指導員の資格要件」や、運営の健全性を外部へ証明するための「第三者機関による監査システム」について深掘りします。これら全ての条件をクリアして初めて、適法な麻雀教室としての運営が可能となります。ぜひ後編もチェックしてください!

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行政書士 木下みのり
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